KMUTT建築学部|TOEICで出願できるタイの英語建築プログラム【学費・条件を徹底解説】
タイの大学で建築を英語で学ぶ場合、多くのプログラムはIELTSやTOEFLでの出願を前提としています。しかし、キング・モンクット工科大学トンブリー校(KMUTT)のSchool of Architecture and Design(SoA+D)が提供する建築学プログラム(International Program)は、日本人高校生に馴染みの深いTOEICスコアで直接出願できる、数少ないタイの英語建築課程です。この記事では、出願条件・学費・カリキュラム・キャリアパスまで、日本人留学生の視点で必要な情報を整理して解説します。
1. ハイライト
- タイの主要英語建築プログラムの中で、TOEIC 605で本出願が可能(条件付きなら540から)
- SAT不要・ポートフォリオ重視の選考で、デザイン志向の高校生が実力で勝負しやすい
- 5年制のプロフェッショナル学位(B.Arch)で、タイ王国建築士協会(ACT)ライセンスに接続する専門教育を英語で受けられる
2. 大学・学部の基本情報
| 大学名(英語) | King Mongkut’s University of Technology Thonburi |
|---|---|
| 大学名(タイ語) | มหาวิทยาลัยเทคโนโลยีพระจอมเกล้าธนบุรี |
| 略称 | KMUTT |
| 学部 | School of Architecture and Design(SoA+D) |
| プログラム名 | Bachelor of Architecture (International Program) / B.Arch. |
| 学位 | Bachelor of Architecture(建築学士) |
| 修業年限 | 5年(167単位) |
| 使用言語 | 英語 |
| QS世界大学ランキング | KMUTT総合:#1001-1200(QS World 2027 / 2026年6月発表) |
| 所在地 | SoA+Dキャンパス:49 Soi Thian Thale 25, Bang Khun Thian Chai Thale Road, Bangkok 10150 |
| Googleマップ | キャンパスを地図で開く |
キャンパスと都市の特性
SoA+Dはバンコク中心部ではなく、バンコク南部のバーンクンティエン地区(Bang Khun Thian)に独立したキャンパスを構えています。デザインスクール専用に設計された環境で、スタジオ中心の学びに集中できるのが特徴です。KMUTT本体の主要キャンパスはトゥンクル地区(Thung Khru)にあり、工学系の学生と連携するプロジェクトも展開されています。
3. カリキュラム
KMUTT建築学部のカリキュラムは、デザインスタジオを軸に、建築技術・デジタル技術・環境配慮を統合的に学ぶ構成となっています。5年間で合計167単位を履修します。
主要科目群
| 科目群 | 内容 |
|---|---|
| デザインスタジオ(コア) | Architectural Design Fundamentals、Architectural Design、Integrated Architectural Design 1〜4、Architectural Capstone Project など、学年ごとに段階的にスケールと複雑さが増すスタジオ課題 |
| 建築技術系 | Construction and Material Fundamentals、Building Technology、Building Structural Systems、Architectural Building System |
| デジタル・BIM系 | Computer-aided Architectural Design 1・2、Introduction to Building Information Modeling、BIM in Architecture |
| 歴史・理論 | History of Architecture、Theory of Interaction Design and Cognitive Human Factor、Principle of Design Research |
| モジュール選択 | Architectural Intelligence(AI・生成デザイン)/Sustainable Tropical Design(熱帯サステナブル建築)/Construction & Facility Management/Design Thinking から選択 |
| 教養科目 | English for Architectural Communication、Ethics and Aesthetics、Ecology and Environmentalism、Economics など |
特徴的・ユニークな科目
ユニークなのは「Sustainable Tropical Design(熱帯サステナブル設計)」モジュールで、東南アジア特有の高温多湿気候に対応する建築設計を、シミュレーションツールを使って学べる点です。また「Artificial Intelligence in Architecture & Business」ではAIを設計プロセスに応用する演習が組み込まれており、BIM・生成デザインを含む最先端のデジタル建築教育が受けられます。
科目の全体割合(概算)
| 領域 | 割合(目安) |
|---|---|
| デザインスタジオ・設計系 | 約35% |
| 建築技術・構造・材料 | 約20% |
| デジタル・BIM・AI | 約15% |
| 歴史・理論・研究 | 約10% |
| 教養・英語・経済 | 約20% |
4. 出願条件と必要書類
英語スコア要件(SoA+D公式)
SoA+Dは日本人にとって受験しやすいTOEICスコアを、正式な出願要件として認めています。これはタイの英語建築プログラムでは非常に珍しい特徴です。
| 試験 | 本出願スコア | 条件付き合格ライン |
|---|---|---|
| TOEIC | 605以上 | 540〜604 |
| IELTS | 5.0以上 | 4.5 |
| TOEFL iBT | 61以上 | 53〜60 |
| CU-TEP | 61以上 | 53〜60 |
| CEFR | B2(51以上) | B1(41〜50) |
| Duolingo English Test | IELTS 5相当 | — |
条件付き合格ラインのスコアで出願した場合、書類選考・適性試験・面接を経て合格すると、5〜6月に大学が指定する英語補習コースを受講する必要があります。
SAT・GPA・ポートフォリオの要否
| 項目 | SoA+D建築プログラム |
|---|---|
| SATスコア | 不要(KMUTTでSATが必要なのはComputer EngineeringとAutomation Engineeringのみ) |
| GPA | 明示的な最低基準の指定なし。高校卒業または卒業見込みが条件 |
| ポートフォリオ | 必須。デザインへの関心・基礎的な表現力・オリジナル作品であることが求められる |
| Personal Statement | 必須。志望動機と将来のキャリアプランを記述 |
| 推薦状 | 2通(高校の教員・指導者から) |
その他必要書類
- 高校の成績証明書
- 高校卒業証明書または卒業見込み証明書
- パスポートのコピー
- 英語スコア証明書のコピー
他の「キング・モンクット」系大学との比較
タイには「キング・モンクット」を冠する国立大学が3校あります。学部レベル(Bachelor)で建築を英語で学べるのはKMUTTとKMITL(ラートクラバン校)ですが、出願要件は大きく異なります。
| 大学 | プログラム | TOEIC | SAT |
|---|---|---|---|
| KMUTT(本記事) | B.Arch. Architecture (Intl) | 605で出願可 | 不要 |
| KMITL | B.Sc. Architecture (Intl) | 公式要件に不記載(TOEFL iBT 79 / IELTS 6.0 / CU-TEP 80 / SAT EBRW 450 のいずれかが必要) | SAT Math 550必須 |
| KMUTNB(北バンコク校) | — | 学部レベルの英語建築プログラムは確認できず(工学系が中心) | |
KMITLは英語スコアのハードルもSAT要件も高く、TOEIC対策で準備してきた日本人高校生には直接出願がしにくい構造です。一方KMUTTは、TOEICでの出願、SAT不要、ポートフォリオ重視という3点で、日本の高校で美術・デザイン系の実績を積んできた学生に開かれた設計になっています。
5. 出願スケジュール
KMUTT SoA+Dの2026年度入学(Academic Year 2026 Intake)向けの主要ラウンドは以下の通りです。国際プログラムは複数ラウンドが用意されており、早期ラウンドほど競争が緩やかで、奨学金の枠にも余裕があります。
| ラウンド | 出願期間 | 試験・面接 |
|---|---|---|
| Early Admission for International Program | 2025年10月17日〜10月31日 | 2025年11月7日〜10日 |
| Direct Admission(能力優秀者・奨学金枠) | 2025年10月28日〜11月18日 | 2025年12月19日〜22日 |
| 1st KMUTT International Admission | 2025年11月5日〜2026年1月6日 | 2026年1月16日〜19日 |
| 2nd KMUTT International Admission | 2026年2月12日〜3月12日 | 2026年3月20日〜23日 |
| TCAS3(最終ラウンド) | 2026年5月6日〜12日 | — |
選考ステップ
SoA+D建築プログラムの選考は「書類選考 → 適性試験 → 面接」の3段階です。書類のみの選考ではないため、ポートフォリオの完成度と英語での面接対応力が合否を分けます。ポートフォリオは、オリジナル作品であること、デザインへの関心と基礎スキルを示せることが条件です。
6. 学費(日本人留学生向け料金)
KMUTT建築プログラム(International Program)の学費は、以下の通り公式に固定料金制で公開されています(外国人・タイ人共通のInternational料金)。円換算は1バーツ=5円で計算しています。
| 項目 | 金額(バーツ) | 円換算 |
|---|---|---|
| 学費(1学期) | 82,000バーツ | 約41万円 |
| 付帯費用(1学期) | 25,000バーツ | 約12.5万円 |
| 年間合計(2学期分) | 214,000バーツ | 約107万円 |
| 5年間の学費総額 | 820,000バーツ | 約410万円 |
| 5年間の総額(付帯費含む) | 約1,070,000バーツ | 約535万円 |
※上記に加え、初回登録料(Registration Fee 700バーツ)、健康診断料(200バーツ)、学生証発行料(100バーツ)、保険料が別途必要です。教科書代・スタジオ用材料費は含まれません。留学生は入院時保険料として2,300バーツの支払いも求められます。
日本の建築学部との比較
| 比較対象 | 年間学費(目安) | 修業年限 |
|---|---|---|
| KMUTT建築(International) | 約107万円 | 5年 |
| 日本の私立大学・建築学科(平均) | 約150〜180万円 | 4年 |
| 日本の国公立大学・建築学科 | 約54万円 | 4年 |
日本の私立建築学科と比較すると、年間で40万〜70万円ほど学費を抑えられます。5年制ではあるものの、生活費もタイの方が抑えやすいため、総額ベースでも留学のコストメリットは大きいと言えます。
7. 学習環境
留学生の割合
KMUTT全体では約15,000人の学生のうち、留学生は約570名(40か国以上から)在籍しています。SoA+Dは学部単位ではデザインに特化した比較的小規模なスクールで、スタジオ形式の少人数指導が特徴です。日本人留学生の具体的な人数は公表されていません。※要確認
キャンパスの特徴と施設
SoA+Dはバンコク南部のバーンクンティエン地区に、デザインスクール専用のキャンパスを構えています。スタジオ棟、デジタルファブリケーション施設、プレゼンテーション用のギャラリー空間などが整備されており、プロジェクトベース学習に適した環境です。学生寮は男女別に用意されています。
周辺環境
キャンパスはバンコク中心部からはやや離れており、公共交通アクセスは中心部ほど便利ではありません。その分、静かで制作に集中しやすい環境です。生活費はバンコク中心部より抑えやすく、寮生活を選ぶことでさらにコストを圧縮できます。
8. 卒業後の進路
主なキャリアパス
KMUTT建築プログラムの公式資料では、卒業後のキャリアとして以下が想定されています。
- デジタルアーキテクト(Digital Architect)
- BIMマネージャー(Building Information Modeling Manager)
- 建築ビジュアライザー(Architectural Visualizer)
- コンストラクションマネージャー
- 不動産開発プロジェクトマネージャー
- ファシリティマネージャー
- 環境建築家・熱帯サステナブルデザイン専門家
- ユニバーサルデザイン・インクルーシブデザイン専門家
キャリアサポート
SoA+Dは政府機関・民間企業との連携プロジェクトを多数実施しており、4年次のCo-operative Education(企業インターン)または海外研修(Overseas Training)が必修モジュールに組み込まれています。B.Arch学位はタイ王国建築士協会(Architect Council of Thailand)の認定に接続する専門学位であり、卒業後にタイで建築士ライセンスを取得するキャリアパスも開かれています。就職率の具体的数値は公表されていません。※要確認


